
築地市場跡地の再開発計画はどうなる?国際展示場等(MICE)を検討。地下鉄延伸計画との連動。マンション・IR(統合型リゾート)はできる?
目次
東京都が築地市場跡地再開発方針を2019年3月に発表
2019年3月に東京都により、築地市場跡地の再開発の方針を考える「築地まちづくり方針」を発表しました。
「築地まちづくり方針」では、「長期的な経済合理性を考慮し、民間の力を最大限に活用し、中長期的に都民にとっての価値を向上させ、東京・日本の持続的成長に結びつけていく」という考え方を表明しています。
民間企業の大きな投資を呼び込み、できるだけ公的負担の少ない再開発プランが練られていくものと思われます。
再開発はMICE(国際展示場・会議場等)複合施設を軸に検討
築地市場跡地は隣接する浜離宮恩賜庭園に匹敵する敷地面積を持ち、有効な再開発が行われれば、東京の発展につながる可能性が高いです。
東京都の方針では、需要が逼迫しており増築工事が行われている、東京ビッグサイトのような大規模な国際展示場・会議場の立地が考えられているようです。
MICE施設は、文化・芸術・テクノロジー・デザイン・スポーツ・ウェルネスなどの機能が融合した「創発MICE」を目指すとしております。
築地市場再開発に合わせて、都心部臨海地域地下鉄構想が動き出す?
東京都の「築地まちづくり方針」においては、地下鉄などの機関交通インフラの整備にも触れています。
つくばエクスプレスを秋葉原駅から東京駅まで延伸する計画と、銀座エリア〜東京ビッグサイトのある有明エリアを結ぶ地下鉄新路線を一体化させた構想が存在しています。
地下鉄新路線構想を、築地市場跡地再開発と一体的に検討する方針が東京都により示されたため、都心部・臨海地域地下鉄構想が動き出す可能性が高まったと言えます。
地下鉄新駅は築地本願寺・築地場外市場に隣接して設けられる予定となっており、築地市場再開発エリアの鉄道交通利便性が高まり、アクセス駅となりそうです。
築地市場跡地MICE施設と東京ビッグサイトの連携も可能に
地下鉄新路線「都心部・臨海地域地下鉄構想」は、秋葉原〜銀座〜築地市場跡地を経由し、晴海や豊洲市場を経由して、東京ビッグサイトのある有明エリアまで延伸される予定となっています。
この構想が実現すれば、東京ビッグサイトと一体的な運用も可能になると見られます。
築地市場跡地に建設されるMICE施設の国際展示場の展示面積は、約10万㎡を想定しています。
東京ビッグサイトは増築棟が完成すると展示面積約10万㎡となり、合計すると約20万㎡の展示面積となり、国内最大級の国際展示場が誕生することになります。
築地市場跡地の地域性を維持するため、食文化の拠点も設けられる予定
築地市場跡地再開発では、食の一大拠点となっていた歴史ある「築地市場」が育んできた地域性を維持し、国際的な食の発信拠点に育てるため、「食文化の拠点」を整備する予定となっています。
しかし、卸売市場は豊洲市場に集約され、築地市場再開発により卸売市場の分館機能を整備することについては否定されています。
再開発で起こる地価上昇を受け、築地場外市場にも変化が?
築地場外市場は食の観光拠点として、国内外から観光客を集め賑わっています。
築地市場跡地再開発によって新施設が開業すると、周辺の地価の上昇が考えられ、いい影響もありそうですが、地価上昇による民間企業の不動産開発が活発化し、築地場外市場が虫食い状態になってしまい、現在のもつ独特の魅力が低減されてしまう可能性もあります。
築地市場跡地再開発のゾーニング
築地市場跡地再開発では、中央の広大な交流促進ゾーンに大規模集客・交流施設や研究開発施設を整備する予定となっています。
大型の国際展示場などの立地が考えられますね。
浜離宮恩賜庭園沿いの運河に面したエリアでは、ウォーターフロントの魅力を活かした、展示場機能を備えた国際会議場、上質な高級ホテルなどの立地が検討されています。
東側の一角はゲートゾーンと位置づけられ、交通ターミナルや防災機能、ホテル、サービスアパートメントなどが検討されています。
隅田川沿いには広場や緑地、レストランなどの整備が検討されています。
食文化拠点については、民間企業の提案に基づき、立地場所の検討がされるようです。
画像引用元:築地まちづくり方針 (概要)
築地市場跡地再開発のスケジュール
築地市場跡地再開発は、4つの段階に分けて開発が進められる予定となっています。
まず、2020年ごろに事業者を募集し、ゲートゾーンに中期の定期借地により開発が進められます。
その次に、浜離宮恩賜庭園側のエリアを、2022年ごろに事業者を募集し、長期の定期借地による開発が行われます。
その次に、2020年代なかば頃に事業者を募集s、中央エリアの最大規模の開発を行います。
最後に、第0段階で開発が行われた、ゲートゾーンを超高層ビルなどを含む高密度で再開発し、エリア全体の価値を高めていく方針です。
画像引用元:築地まちづくり方針 (概要)
築地市場跡地にIR(統合型リゾート)が導入される?
産経新聞の2019年6月6日の報道によると、東京都の築地市場再開発方針が、IR(統合型リゾート)の整備要件に合致することから、東京都がIR(統合型リゾート)の誘致を検討しているのではないか?と憶測を呼んでいることが報道されました。
国際展示場や国際会議場は、都市の発展やビジネスの活性化に大きな役割を果たしていますが、莫大な建設・維持費用が必要になるため、公共施設として税金による運用がなされる場合が多いです。
東京都の築地市場跡地再開発方針では、民間企業の活力を最大限に活かすと発表しており、民間企業主導の開発が行われる可能性が高いです。
横浜市の山下埠頭で構想されている、IR(統合型リゾート)の提案イメージ
画像引用元:IR(統合型リゾート)等新たな戦略的都市づくりの検討
大規模な国際展示場や会議場の整備を民間投資によって行う代わりに、強力な収益源として、IR(統合型リゾート)の整備を企業側が求める場合や、東京都が戦略的に検討している可能性はあると思います。
大阪市の夢洲や横浜市の山下埠頭などで、IR(統合型リゾート)の誘致が検討されていますが、東京と横浜にIRが整備されると、激しい競合関係になりそうです。
また、築地市場跡地の敷地面積は大阪市の夢洲などに比べるとスケールが小さく、拡張性が低いことから、IR(統合型リゾート)が築地市場跡地に整備された場合でも、世界基準で見ると小さめのIR(統合型リゾート)となりそうです。
築地市場再開発でマンションは建設される?
築地市場跡地の再開発は商業的機能が大半を占め、大規模なマンション群が建設される可能性は今の所低いと言えます。
ただ、サービスアパートメントの建設がゲートゾーン内で提言されており、マンションに近い機能は一部導入されますが、都有地であり、注目を集めた土地であること、公共性などを考えると、分譲マンションの建設の可能性は低いと言えます。
東京23区の再開発・注目スポット情報
東京23区内の再開発情報は以下のページにまとめてあります。
周辺エリアの再開発情報は以下のページにまとめてあります。
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