
九州新幹線長崎ルート(西九州ルート)のメリット・デメリットは?全線フル規格開業にはハードルが
目次
九州新幹線西九州ルート(長崎ルート)は2022年度暫定開業予定
整備新幹線は北陸新幹線金沢〜敦賀間、北海道新幹線新函館北斗〜札幌間など整備が進行中ですが、九州新幹線の2つめのルート「西九州ルート」の整備が進行しています。
西九州ルートは長崎駅が終点となるため、現在でも通称で長崎ルートと呼称されることもあります。
現在整備が進められている武雄温泉駅〜長崎駅間が、2022年度の開業を予定しています。
九州新幹線西九州ルート(長崎ルート)は当初はフリーゲージトレインで博多に直通予定だった
しかし、九州新幹線西九州ルート(長崎ルート)は開業にあたって、大きな問題をかかえています。
当初の計画では、武雄温泉駅〜長崎駅間はフル規格、武雄温泉駅〜新鳥栖駅までは在来線にフリーゲージトレインで乗り入れ、新鳥栖駅〜博多駅までは既存の九州新幹線に乗り入れる形で、運行を予定していました。
現在は長崎県やJR九州などが、全線フル規格での整備を求めている
しかしフリーゲージトレインの開発が難航しており、2022年の開業までにフリーゲージトレインの完成が難しいことがわかると、JR九州は、九州新幹線西九州ルート(長崎ルート)におけるフリーゲージトレインの導入を断念し、全線フル規格(武雄温泉駅〜新鳥栖駅間もフル規格で整備する)での整備を国などに求めていく方針を発表しました。
しかし、費用負担など様々なコストが降り掛かってくる佐賀県は、「新幹線整備を求めたことはなく、現在も求めていない」と発言し猛反発しており、全線フル規格整備を求めているJR九州や、全線フル規格整備により大幅な時短を実現できる長崎県などと対立している状況が続いています。
九州新幹線西九州ルート(長崎ルート)全線フル規格の場合のルートは?
全線フル規格で新鳥栖駅〜武雄温泉駅間も整備される場合のルートは、新鳥栖駅〜在来線の南側を経由し、佐賀駅で在来線と接続し、在来線の北側を経由し、武雄温泉駅まで伸びるルートとなりそうです。
佐賀市にとっては、在来線と接続する新幹線駅が佐賀駅に整備されるので、利便性向上につながりそうですが、佐賀県全体としては、在来線特急が廃止・減便される場合、新幹線ルートから外れた地域では利便性の低下が発生しそうです。
2022年の暫定開業時は、武雄温泉駅で同一ホーム対面乗り換えで開業予定
2022年の武雄温泉駅〜長崎駅間のフル規格開業時は、博多駅〜武雄温泉駅までは在来線特急で移動し、同一ホーム対面乗り換えで武雄温泉駅〜長崎駅間をフル規格で移動する形となる予定です。
この「リレー特急方式は」九州新幹線(博多〜鹿児島中央までのルート)の暫定開業時にも用いられていました。
当初の博多まで直通できるフリーゲージトレインに比べて、乗り換えがあるため利便性で劣るため、博多まで直通でき格安で移動できる高速バスなどとの競争では、厳しい状況になりそうです。
九州新幹線長崎ルート(西九州ルート)武雄温泉駅〜長崎駅間に設けられる新駅
全線フル規格で建設が進行中で、2022年度に開業予定の区間は武雄温泉駅〜長崎駅間です。
設置予定駅は以下の通りです。従来の新幹線に比べて、末端路線となるためか、駅間が短めで、こまめに停車する新幹線となりそうです。
武雄温泉駅
武雄市に設けられ、JR九州佐世保線「武雄温泉駅」と接続されます。
嬉野温泉駅
嬉野市に設けられます。周辺には駅の存在しない孤立した新駅となります。
新大村駅
大村市内の大村駅とは別位置の大村線上に設けられ、大村線とも接続します。
諫早駅
諫早市に設けられ、JR長崎本線、大村線、島原鉄道線「諫早駅」と接続します。
長崎駅
長崎市に設けられ、九州新幹線西九州ルート(長崎ルート)のターミナル駅となります。JR九州長崎本線や長崎電気軌道「長崎駅」と接続されます。
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駅周辺では大規模な再開発が行われており、駅舎も建て替えられます。
九州新幹線長崎ルート(西九州ルート)のメリット
時間短縮効果(特に長崎県内〜博多間)
新幹線の建設効果として最も特徴的なのは、時間短縮効果でしょう。武雄温泉〜長崎間は確実に高速移動できるようになります。
佐賀県は反対していますが、武雄温泉〜新鳥栖駅間もフル規格新幹線が整備されれば、博多や熊本と長崎・佐賀県間は今までより高速で移動できるようになり、経済交流なども活発になるものと思われます。
沿線再開発の誘発効果
沿線、特に終点となる長崎県長崎市では、長崎駅と長崎駅周辺の再開発や、ジャパネットたかたによる巨大再開発計画「長崎スタジアムシティプロジェクト」など、九州新幹線長崎ルート(西九州ルート)の建設に少なからず誘発されたものと思われるビッグプロジェクトが進行中です。
再開発が行われ、観光競争力のアップや経済効果がありそうです。
九州新幹線長崎ルート(西九州ルート)のデメリット
並行在来線問題(在来線利用客・収入減少と在来線化)
フル規格新幹線が開業した地域では、並行在来線が発生し、新幹線と並行する在来線では利用客の減少(特に収益性の高い特急が廃止されることによる特急利用客の減少)が起こり、収益性が低下します。
それを見越してか、最近フル規格新幹線が開業した地域では、並行在来線がJRから経営分離され、第三セクターの運営になっている地域が多いです。
筆者の住む地域でも、近年新幹線開業とともに、並行在来線がJRから経営分離されました。在来線特急は新幹線と重なる区間では廃止されているため、収益性が低下しているものと思われます。
新幹線建設コストの負担、維持コストの増大
九州新幹線長崎ルート(西九州ルート)が、武雄温泉駅〜新鳥栖駅間も含めて、全線フル規格で開業した場合、時短効果は抜群ですが、新幹線の建設費用が増大し、佐賀県や長崎県や国に重い負担がのしかかります。
特に佐賀県は博多との距離が近く、在来線特急でも十分だったところを、新幹線建設・維持費用を負担することになれば、メリットがあまりないのに、コストだけが増大するという、県民の理解が得づらい状況になってしまいます。
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